見送る小鳥

 娘の学校では15才の春に8日間の海外ホームステイがある。今朝6時に発つ娘を見送った。

 「行きたくない」と毎日ブツブツ言っていた娘が、集合場所ではクラスメイトたちの輪の中でワクワクした笑顔になっていた。そこにいた誰もから不安を上回る高揚が見て取れた。

 出発を待つ私服の人だかりにフと制服の少女が近づいた。

 夜明けの仄暗さの中に誰かが彼女を見つけて抱きついた。彼女もまた誰かを見つけては声をかけて回っていた。きっと彼女も、クラスメイトなのだ。温かい布団の中で眠ってればいいのに、早朝の見送りに一人現れたのだ。辛さではなく祝福を選んで。

 8日間の海外ともなれば全員が揃って行くことは難しいだろう。様々な事情で参加できない子供が何人かいて当然じゃないか。

 気がつくと僕は出発する子供たちではなく見送る彼女を見ていた。バスの窓側に座っていた我が子の写真も撮り忘れてしまった。旅立つ小鳥たちではなく、その群れに向かって手を振る小鳥を見ていた。

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