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help リーダーに追加 RSS 巨人の行方(志免炭鉱竪坑櫓)

<<   作成日時 : 2005/11/23 08:46   >>

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 福岡市と福岡空港の狭間に眠るベッドタウンが志免(しめ)町である。一年前、そこに白く巨大なショッピングモールが出来た。イオングループの総合スーパーを核店舗に展開する大規模な商業施設「ダイヤモンドシティ」だ。だがその名とは全く異なる次元で奇遇にもこの町はかつて「ダイヤの志免」と呼ばれていた。古くからの音頭でも“花の博多か、ダイヤの志免か”と歌われた地だ。僕が届けたいもの、それは白光輝くダイヤではない。黒いダイヤにまつわる話、消え行く世界から現世に打ち込まれた巨大な“クサビ”の物語だ。

 福岡東還付線から入り、空港へとゆく道すがら忽然と見えて来るあの巨塔。その巨大さからも形状の歪さからもずっと気になって仕方ないものだった。知り合いに尋ねても「そんなのあった?」などと素っ気ナイ返事が返って来るのだけれど、ソイツは紛れもなくそこに存在していて。そんな巨塔の数奇な運命を辿るにつれ、僕はこの町の(国の)失われた記憶を紐解いていたのだ。その巨塔の正体は「竪坑櫓」。タテコウヤグラ、と読む。鉱山で坑道を地下へ垂直に掘り下げる為に立てる櫓である。

 明治以降この国の近代化を根っこから支えたのが先人達のがむしゃらな労力と、黒ダイヤとまで称された石炭であった。則ち、この黒ダイヤ(石炭)採掘がなければ産業革命の火は灯らなかった。当時、各地の炭鉱が民間資本(大手商社)に所有されたが唯一の国営炭鉱がこの志免の地にあった。であるからこそこの堅抗櫓は贅沢な仕様で建造され、50mを超えるワイディングタワーと成り得たのだ。戦時下に於いては国有=軍事炭鉱であり、「海軍仕様」ともてはやされた。だがやがて終戦。軍事炭鉱である事は返す刀(不幸)となった。殆どの資料は証拠隠滅、徹底廃棄(焼却)されたまま、巨大な竪坑櫓は放置されたのだ。 旧国鉄に買収され、戦後復興に貢献はするもののエネルギー政策(石油、電力へ)の変更の中で昭和39年に閉山。NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)移管を経て、やがて21世紀に至った。

 竪坑櫓は日本近代史上不朽のランドマークと囁かれ、「近代土木遺産」においてもAランク(最重要)と評価されながら、運命に翻弄され40年余り置き去りのままに佇む巨人だ。人間の身勝手さに振り回されたあげく、今やすっかり「負の遺産」と化した。これほど巨大であれば保存するには巨額の補修費が必要であるし、解体するにもそれ相応の費用がかかるのだ。いつからか世間は竪坑櫓を見放したまま忘れ去り、今やその存在さえも気づかずに人々はショッピングモール(ダイヤモンドシティ)へと連なり、群がる。既にこの町で盛栄を誇った炭鉱の面影は皆、デリートされたのか?…

 荒涼とした廃墟の中に佇む竪坑櫓を僕は見上げる。四方は破片落下の危惧からバリケードと塀で囲い込まれている。そのすぐ側には整った公園と総合福祉施設がある。公園の遊具で子供達は無邪気に戯れている。傍らで女達が昨夜のTVドラマの話に花を咲かせている。隣接する野球場からはユニフォーム姿の男達の張りのある声が聞こえて来る。僕の娘は公園の滑り台の昇り降りを繰り返し、妻はベンチに腰かけてケイタイでメールを開いている。老若男女の賑わいの中で誰一人として竪坑櫓を見る者はいない、語る者はいない。

 なのに何故、竪坑櫓は僕を呼ぶのだろう?…朽ち果てた窓枠が落ちる音や、螺旋階段を吹き抜ける風が何故?僕の耳で鳴っているのだろう。巨人を見上げると僕の胸の奥まった場所にある淀みがざわめき出し、何処かに幽閉されたままでいるもう一人の僕がゆっくりと起き上がるような錯覚を覚える。本当にこの巨人は現世では無用の長物でしかないのか?…それが主力エネルギーが石炭だった時代の史実であり、どんなに衝撃的なシンボルであっても。それが時空を超えた墓標であり、どんなに圧倒的な霊力を誇ろうとも。それが例えラピュタ(天空の城)の成れの果てなのだとしても。

 解体か、保存か、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)は来春までの回答を町に迫る。巨人の行方は今また、世に問われている。解体か?保存か?僕は今更に答えるまでもない。僕は待ち、焦がれる。保存を願う人々の小さなうねり(声)がやがて隆起して力強く勃起し、竪坑櫓がこの町の「個」を“懐胎”するその時を ―

http://www.shime.jp/shimehome.nsf/doc3/kougyousho

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2006/12/26 16:52
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旧志免鉱業所竪坑櫓が3月16日、国の登録有形文化財に指定されました。竪坑(たてこう)というのは、地表から垂直または垂直に近い傾斜で掘り下げた坑道で、通路や通風に使用するものです。旧志免鉱業所竪坑櫓というのは、1964年に閉山した国営炭鉱・志免鉱業所の遺構です。 1... ...続きを見る
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内 容 ニックネーム/日時
この地球上のものはすべて
振動を持つと言われます。
空気は目に見えない振動で満ちてる。
人と人の繋がりも、動物でも、洋服でも、家具でも、建物でも、わたしの傍に来るまでに関わった命が産み出し、消えることのない振動。
実態でもなく、もちろん言葉でもない、それらを超えた繋がり。

竪抗櫓とあなたは、振動で共鳴し合ったのでしょうか。
その繋がりの前に、人間が産み出したすべてのコミュニケーション手段など、意味をなさない。

眠っている何かを目覚めさせる時だって
呼びかけているのかも知れないですよ。
今、だって。
草莽の志士の友
2005/11/23 11:29
 コミュニケーション、と営業は似て否なるものだと感じます。コミュニケーションが運やお金を掴む入口と勘違いされてから何世紀も経った今、それを利用するマニュアルならわざわざ本を買わなくも、電子世界に接続すれば誰にでもいとも容易く入手出来てしまう時代。例えば友人を見つけるにしても、自らを「フツー」で装おうより「個」を信じてコミュニケートすべきだと僕は感じています。さて、何やら話があらぬ方向へ逸れました。そのセイか常に不可、であり続ける僕の心情が少々この場に便乗してマス(笑)

 竪抗櫓は軍事目的が主だった事を想えば、生まれながらに「呪われた」建築物。しかし地球はその呪いさえも自らの手で覆おうとしています。足下から伸びる蔦が竪抗櫓を包もうとしているのです。まるで人々の記憶から消えてゆくのと歩調を合わせるかのようにゆっくりと、自然に帰そうとしています。もしもあと何世紀か後にも竪抗櫓がここに立っていたなら、きっとあの灰色の姿は緑で覆われているに違いない。母が傾ける巨人への無償の愛。この、振動が伝わればと想います、友さんにも。否、未だ知れず何処かに潜伏している一人でも多くの僕の「友」に。
草莽の志士
2005/12/11 08:21
はじめまして(じゃないけど)。
先程書店でこんな表紙を見つけ、思わず撮ってしまいました。
http://p2.ms/bosxq
「ワンダーJAPAN」という雑誌です。

2005/12/30 01:09
志免炭鉱立て坑櫓は,九州産業考古学会,北海道産業考古学会会長山田大隆氏,志免立て坑櫓を活かす住民の会の努力により,保存が決定され,産業考古学会の推薦産業遺産に認定されました.
詳しくは,それぞれのホームページをご覧下さい.
九州産業考古学会圏外会員
2006/05/01 11:26
 秋さん、こちらまでお越し頂き有り難うございます。『ワンダーJAPAN』のお話し(思わず撮ってしまった)は色んな意味で、とても嬉しかったです(笑)。

  九州産業考古学会圏外会員さん、貴重な情報を本当に有り難うございます。僕は福岡を離れ、関門海峡を越えた辺りに漂着しました。西日本新聞も久しく目を通す機会がなく、この吉報も知らずに暮らしていました。このお知らせは本当に嬉しく、自身が救われた想いさえしています。

(尚、ご提示頂いたHPを下記に明記させて頂きます)
http://www.tateko.com/index.html
草莽の志士
2006/05/01 22:10
本文の文字が間違えています.
堅抗櫓ー>竪(又は立)坑櫓です.
あ!
2006/05/14 00:22
あ!さん、ありがとうございます。さっそく訂正致しました。
草莽の志士
2006/05/14 06:37

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